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カテゴリ:半導体関連の記事一覧

サムスン電子、アメリカで操業開始を予定していた半導体受託工場から大量の社員を引き揚げへ、操業開始も今年から26年に変更……というかそもそもファウンドリ工場として操業開始できる?

カテゴリ:半導体関連 コメント:(26)
サムスン)電子、テイラーの荷造り…イ・ジェヨン、ファウンドリー1位の夢「とりあえず停止」(マネートゥデイ・朝鮮語)
サムスン電子の米テキサス州テイラーファウンドリー(システム半導体の委託生産)工場に派遣された韓国人社員が大勢戻ってきた。建設中のテイラー工場は4ナノ(nm、10億分の1m)と2ナノ工程量産予定だが、2ナノ収率がなかなか上がらないため一部「人材撤収」という決定を下した。 イ・ジェヨン会長のファウンドリドライブが「ひとまず止まった」わけだ。

11日、業界によると、2022年と昨年にかけてテイラー工場の建設現場に派遣された職員のうち、過半数以上が先月末と今月初めに帰国の途についた。 この間、現地建設とインフラ、製造技術関連人材数十人が韓国で駐在員として出てきたが、低調な収率とこれにともなう受注の困難により「1歩後退」を選んだと分析される。 (中略)

匿名を求めた三星電子の関係者は「(韓国からテイラーに派遣された職員が)実質的な装備セットアップなしに2年余りシミュレーションばかりしていた」とし「韓国に帰ってくるのが当然だ」と話した。

2022年に着工したテイラー工場は2019年サムスン電子のイ・ジェヨン会長(当時副会長)が「2030年までにファウンドリーを含むシステム半導体分野で確実な1位をする」と宣言した「システム半導体ビジョン2030」目標達成のための核心基地の一つだ。 サムスン電子が1998年、テキサスオースティンに初の米国ファウンドリー工場を完工して以来、約20年ぶりに決定した超大型米国投資だ。 三星電子は2030年までに米国の半導体だけで450億ドル(約62兆ウォン)をつぎ込む計画だ。

ファウンドリー1位企業である台湾TSMCとの格差を縮める核心先端工程で、サムスン電子が2ナノを予想してテイラー工場で勝負に出たが、AMDやNVIDIAだけでなくクアルコムやアップルなどビックテックの顧客会社がすべてTSMCに集まった。 テイラーファウンドリー工場だけではない。サムスン電子平沢キャンパスの新規ファブであるP4は最近、計4つのラインを全てメモリー半導体に回した。 2022年から建設中の新規ファブP4は、当初DラムとNAND、ファウンドリーラインをすべて備えた複合棟として設計された。 しかし、テイラー工場と同様に、ファウンドリー物量が十分ではなかった。

また別の三星電子の関係者は、「テイラー工場はすでに建設中で、(工場を転がす見返りとして)米政府から半導体支援法(チップス法、CHIPSAct)の補助金も受けることになっており、(受注がなく)韓国工場だけを使っても余るほど、ファウンドリーの受注物量が足りない」と話した。
(引用ここまで)


 サムスン電子がアメリカで展開していた半導体ファウンドリビジネスをほぼ畳んで、従業員の多くも韓国に帰国させていることが判明しました。
 アメリカのテキサス州に建設していたこのファウンドリ工場は、4ナノで2024年中にも操業を開始するとしていたのですが。
 去年末には25年の操業開始を目標にするとされていました。

サムスン電子、米国での半導体量産開始を延期か-TSMCに続き(ブルームバーグ)

 それが今度は26年操業に変更になるのではないかとされています。
 その大きな原因が、サムスン電子が3ナノプロセスで導入したGAA構造の歩留まり。
 現在のところ、GAA構造を導入した3ナノプロセスの歩留まりは10~20%に過ぎないトモされています。

サムスン電子が世界的な人員削減を計画、テキサス州テイラー工場から撤退(データセンターカフェ)

 まあ、この歩留まりが本当かどうかはともかく。
 TSMCと勝負になるようなものではない、というのは確定した事実のようですわ。


 結果として、テイラー工場では稼働できないくらいに委託してくる企業がない。
 韓国の平沢でもにもNAND、DRAM、ファウンドリ事業の複数用途に使えるP4工場のラインが全量をメモリ製造に向けているとのことで。
 「ビジネスをしたくとも委託してくる企業がない」ので、自社向けのAPUを作るしかない模様です。
 すでにTSMCは3ナノプロセスでiPhone 15向け、iPhone 16向けのプロセッサを量産している。
 それも億の単位で。

 その一方でサムスン電子は独自チップであるExynos2500を次期ハイエンドスマートフォンであるGalaxy S25シリーズに搭載できるかどうか怪しいって状況。
 nVidiaもクアルコムもテスラもGoogleまでもサムスン電子のファウンドリ事業から逃避。
 最近出たばかりのPixel 9シリーズに搭載されているGoogleのTensor G4は、サムスン電子の4ナノプロセスで製造しているものの、熱の問題が処理し切れていないので競合のプロセッサに劣っているとされています。
 日本のAI企業が独自のAIチップをサムスン電子のファウンドリ事業(3ナノ? 2ナノ?)に受託するって話も出ていましたが、まだ実際のビジネスにはなっていない感じでした。

 で、今回は大規模なファウンドリビジネスの拠点とするはずだったテイラー工場から社員を大量に引き揚げ。
 ……ビジネスとしてほぼ破綻してませんかね、これ。

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韓国メディア、nVidia CEOの「TSMC以外の受託企業に発注する場合もあるかも」との発言に「サムスン電子の出番だ!」と色めき立つ……なお、「委託先を変えたら品質低下するだろう」との発言は無視

エヌビディアCEO、顧客との関係「緊迫」-AI半導体争奪戦で(ブルームバーグ)
 エヌビディアは最も重要なチップの生産を台湾積体電路製造(TSMC)に大きく依存しており、それはTSMCがその分野で断トツのトップだからだと、フアン氏は説明した。しかし地政学的な緊張でリスクが高まっている。中国は台湾を自国の一部とみなしており、武力で統一を図る恐れがあるとの懸念が強まっている。そうなれば、エヌビディアは主要なサプライヤーから切り離される可能性がある。

 エヌビディアの技術の多くは自社で開発しているため、代替サプライヤーに発注先を切り替えることは可能だと、フアン氏は指摘。ただし、そのような変更は半導体の品質低下を招く可能性が高いと付け加えた。

 TSMCが持つ「当社ニーズへの対応能力と機敏さは、まさに驚くべきほどだ」と同氏。「TSMCが素晴らしいから、同社と取引するが、もちろん必要であれば、いつでも他のサプライヤーに切り替えることは可能だ」と続けた。
(引用ここまで・太字引用者)


 サムスン電子による半導体ファウンドリ事業についてのニュースをふたつほど。
 ひとつ目はnVidiaのCEOである革ジャン野郎ことジェンスン・ファンによるTSMC関連のコメント。
 「地政学的なリスクがあるので、TSMC一辺倒ではない」といった主旨のコメントをしたことから、韓国メディアが一斉に「サムスン電子に巻き返しの機会があるのでは?」といった形での記事を書いています。

残ったのはサムスン電子だけなのに… NVIDIA「必要なTSMC以外のメーカーを利用」(アジア経済)

 ただ、同時に「切り替えたら品質低下を招くだろう」とも発言しています。
 こちらに言及している韓国メディア、ほとんどないんですよね(当該記事は一応、触れてはいる)。

 思い返してみれば、RTX30シリーズではサムスン電子の7nmプロセスで全量が製造されていたんですよね。
 ……ま、結果として熱の多さと歩留まりの悪さで「RTX40シリーズからはTSMCに移るわ」ってやられちゃったんですけど。
 nVidiaのRTX40シリーズ以降の順調さはこのあたりにも原因があるのかも知れませんね。


 さて、もうひとつはGoogelのスマートフォンであるPixelシリーズに搭載されているTensor Gシリーズ。
 こちらもTSMCへの移動が確実視されています。

「Google、モバイルAPでTSMCと協力」…サムスンと決別するのか?(ニューシス・朝鮮語)

 こちらもTensor G4までの歩留まりがあまりに悪いためにサムスン電子から逃げ出した、とされています。
 もうすでにテープアウトしていて量産もスタートしているのではないかとまで。
 サムスン電子はTSMCよりも3ナノプロセスで先行したとは言われていたのですが、ろくに顧客が見つからない状況でした

 そもそもTensor G4以前のプロセッサはサムスン電子のExynosをベースにしたものであるとされていて、それが原因で性能が上がらなかったともされています。
 ハイエンドのSnapdragon 8シリーズと比べるとベンチマークスコアは半分ほど。
 そりゃ逃げられるわな……。

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アメリカ商務省による輸出規制のホワイトリストに非掲載の韓国、実は「アメリカに信頼されていない」わけではなかったかもしれない……っていう話

カテゴリ:半導体関連 コメント:(47)
米商務省、重要・新興技術の輸出管理の暫定最終規則を発表、量子や半導体など(JETRO)b
米国商務省産業安全保障局(BIS)は9月5日、量子や半導体など重要・新興技術の輸出管理に関する新たな暫定最終規則(IFR)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。翌6日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示し、即日発効した。なお、BISは最終規則(FR)の策定に向けて、官報公示日から60日間、パブリックコメントを受け付ける(注1)。
(引用ここまで)


 先日、アメリカ商務省が新たに発表した最先端半導体の製造装置や3Dプリンター(積層造形品目)などについての輸出管理強化について、ちょっと思うところあって再度ピックアップ。
 この輸出管理強化ですが、日本・オランダ・イギリスなどはホワイトリストに掲載されています。
 ホワイトリストに掲載された国々はそもそも輸出管理体制がしっかりしており、アメリカが規制をするまでもないといった意味合いが大きいとされています。

 その一方で韓国はホワイトリストに掲載されることはなく。
 「輸出する場合は文書でアメリカに届け出れば許可が出る」形式での輸出規制を受けることになりました。
 それをもって楽韓Webでは「やっぱり信頼度に差があるのだな」とこの話題をピックアップしたのですが。

 ……ちょっと違うんじゃないかな、とも考えられるのです。


 まず、今回の輸出規制強化について品目を見てみましょう。

量子コンピュータ品目:量子コンピュータ、関連機器・部品・材料、ソフトウエア、量子コンピュータの開発・保守に使用可能な技術。
先端半導体製造装置:先端半導体デバイスの製造に不可欠な装置や機器。
全周ゲートFET(GAAFET)技術:スーパーコンピュータに使用可能な高性能コンピューティングチップの製造・開発技術。
積層造形品目:金属または金属合金部品を製造するために設計された装置・部品・関連技術およびソフトウエア。

 最後の積層造形品目ってのは金属3Dプリンタのことです。
 3Dプリンタについてはちょっと疎いのでなんともいえないのですが。

 これらの項目、そもそもで韓国関係なくない?
 量子コンピュータで韓国関連……うん。ないですね。
 先端半導体製造装置……なんかありますかね。後工程のSEMSはサムスン電子に供給するのがメイン。
 GAAFETはサムスン電子がファウンドリ部門で導入していますが、導入しているだけ。機器や装置はASMLや東京エレクトロンが供給しているわけです。

 そもそもホワイトリストに掲載しなくてもいいのでは?
 中古品とかで輸出する場合だけかなぁ。

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韓国メディア「国内企業が素材や部品で新技術を開発しても導入されない。このままでは日本の牙城は崩せない」……そんな得体の知れない素材、入れたがる半導体エンジニアおる?

カテゴリ:半導体関連 コメント:(50)
タグ: 半導体関連
韓国で新技術を開発しても検証もできない…台湾は政府が後押しする[半導体パッケージ革命](中央日報・朝鮮語)
国内の素材・部品・装備が苦労して新技術を開発しても、これが半導体生産工程に適合するか確認する方法がない。 高価な半導体生産ラインに中小企業の新製品を快く適用してみるメーカーがないためだ。 石橋も数千回叩く半導体業界で、検証されていない新素材·装備を購入するところを探すのはさらに難しい。

台湾はこのような限界を補完するために「半導体異機種統合パッケージング装備検証制度」を運営している。 中小企業が開発した素材・部品・装備の新製品がTSMC・ASE・UMCのような半導体製造・後工程大企業の工場で品質検証を受けられるよう、政府補助金で支援する。 R&DのためのR&Dではなく、市場商用化のための政策だ。 台湾経済部は「装備を検証する資本負担と開発危険を減らし、国内産業競争力を高め、国際市場進出機会を拡大するため」と政策目標を明らかにした。 100個の言葉より「TSMC認証」記録で輸出の道が開かれるためだ。

中国はさらに一歩進んだ。 中国は江蘇省無錫の国家半導体革新センターを2020年から2.5次元(D)および3Dパッケージング、ウェハーレベルファンアウトパッケージング、大型FCBGAのような先端パッケージング専用R&Dセンターとして運営しているが、ここは最新12インチウェハーテストプラットフォームを備えている。 特に中国は、中小企業が開発した新素材を生産過程に初めて適用する企業が被る損失に備えて、関連保険料を政府が払っている。 国産素材の育成過程のリスクを半導体メーカーではなく、国が負担することだ。 対外経済政策研究院のイ·スンシン世界地域研究1センター長は「中国強小企業育成のために、国産化素材を初めて使う企業の負担を緩和する制度」と話した。

今年6月、産業通商資源部は7年間、計2744億ウォンをかけて半導体先端パッケージングの大規模研究開発支援に着手すると発表した。 国内の素材・部品・装備メーカーのR&Dを支援し、次世代パッケージングの核心技術を先取りし、技術リーダーシップを確保するという趣旨だ。 ところが、もともと5568億ウォン規模で申請したこの事業の予算は予備妥当性調査で半分に削られた。
(引用ここまで)


 韓国が「素材・部品・製造装置(装備)」を自国で製造すると言い出して、ろくな成果を出せていないのはご存じの通り。
 あえていうならフッ化水素については日本からの輸入を減らすことが出来たようですが、これは「純度の高くないもの」を製造するようになったからであるようです。ディスプレイ用途かですかね。
 その製造についても日本企業との合弁企業ばかりと報道されています。

 そして半導体製造に必要となる高純度のものについては日本に頼りっぱなし。
 フォトレジストにいたってはJSRの海外支店から迂回輸入して「日本からの輸入比率を低くした!」って勝利宣言してました。

 純水製造装置については野村マイクロサイエンスのものを凌ぐ装置を開発したなんて話も出てますが。

韓国、「半導体の命の水」超純水の国産化に成功…早ければ8月から導入へ(朝鮮日報)

 少なくとも野村マイクロサイエンスの業績下落は直近のIR報告書を見ても中国、アメリカ市場の問題に見えるんだよなぁ。
 中国、アメリカ、台湾で大幅な減収減益。韓国では増収減益。まあ、そりゃ株価も下落するわな。


 で、以前に楽韓Webでは「半導体素材は製造企業にとって秘伝のタレのようなもので、そう簡単に替えられるものではない」との話をしています。
 特にメモリについては製造できる量での勝負になりますからね。
 韓国では替えようがないんじゃないかなぁ。

 「こちらのほうが性能が高いはずだ」とか言われても、本当にそうなのかってことは分からない。
 テストラインでうまくいっても、本番のラインでうまくいくともかぎらない。
 そもそも現状で稼働できているラインを止めて、得体の知れない素材を入れたがるエンジニアなんておらんやろ……。

 で、7年間で2744億ウォンをかけてそうした素材・部品メーカーの後押しをしようって支援策が出てきたそうですが。7年間で300億円弱。
 1年で40億円ちょいか。ないよりはだいぶマシでしょうけどね。

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韓国メディア「韓国企業の縄張りにTSMCが入ってきて人材漁りをしている!」「韓国企業が投資、寄付をしている大学なのに!」……知らんがな

K-半導体、金だけ使って人材が奪われる……グローバル1位のTSMCが怖い理由(ヘラルド経済・朝鮮語)
世界最大のファウンドリー(半導体委託生産)企業TSMCが9月から米国全域の大学キャンパスを回りながら人材確保に乗り出す。 TSMCが訪問すると直接発表した大学リストには、サムスン電子、SKハイニックスが緊密な関係を結んでいるところも含まれ、注目を集めている。 (中略)

TSMCが9月5日から10月10日まで訪問する予定の大学キャンパスは計19ヵ所だ。 これにはTSMCが新規工場を建てているフェニックス地域が属しているアリゾナ大学も含まれた。 それだけでなく、サムスン電子、SKハイニックスが生産施設を構築中の地域の大学までも狙って訪問を計画するなど、人材先取りのための全方位活動を予告した。

TSMCは初の訪問学校としてテキサスA&M大学を挙げた。 テキサスはサムスン電子が投資を集中している地域だ。 すでにテキサス州オースティン市に半導体工場を運営しており、テイラー市に400億ドル(約55兆ウォン)を投資して最先端のファウンドリー工場2つを建設することにした。

テキサス現地大学との関係にも力を入れている。 三星電子は昨年9月、テキサスA&M大学に100万ドル(約13億ウォン)を投資し、半導体教育や採用プログラム、学部生奨学金、大学院生研究プログラムなどを支援するという計画を明らかにしている。

TSMCは続いてテキサス大学オースティンキャンパス(UT)も訪問する予定だが、この学校もやはりサムスン電子が昨年人材養成および奨学金などのために計370万ドル(約49億ウォン)を寄付したところだ。
(引用ここまで)


 TSMCは現在、韓国で蛇蝎のように嫌われています。
 自分たちが「半導体製造の宗主国」気取りだったのに、実際にはメモリ製造だけでありロジック半導体製造についてはほぼTSMCが一手に担ってしまっている。
 製造装置は日米蘭に握られ、素材については大きく日本に差をつけられている。
 「あれ、韓国ってメモリ製造以外にはこれといってなにもなくない?」って事実を突きつけられているので当然とも言うべきか。

 今回の記事は「サムスン電子、SKハイニックスの縄張りに堂々と入ってきて人材漁りをしているTSMC」って感じのものですかね。
 サムスン電子らが投資をしている地域の大学にTSMCが来て、将来の人材となり得る大学生をTSMCに勧誘している。
 ま、TSMCにしてみたら韓国企業の考えとか知ったこっちゃないし、アリゾナに投資もしているわけで。


 もう一本、韓国側からTSMCへの視線をよく描いた記事があります。

米国、ドイツ、日本に拠点工場を建設するTSMC…三星、格差に追いつくためには(イーデイリー・朝鮮語)

 マーケットシェアではTSMCの62%に対して、サムスン電子は13%と大差をつけられた状況で、「追いつくにはどうすべきか」もないもんですが。
 識者から「3ナノ以下での超最先端プロセスで勝負に出なければならない」「サムスン電子からファウンドリ事業を独立させて顧客を安心させなければならない」といった提言が出ています。

 んー、最先端プロセスで相手になってなかったから、nVidiaやクオルコム、テスラ、Googleといった顧客を失ってきたわけですけどね。
 RTX30シリーズでnVidiaのビデオカードが品薄になったのは暗号通貨のマイニング需要があったからとされていますが、需要に対応できるほどのチップをサムスン電子が生産できなかったからのも大きな原因です。

 サムスン電子のファウンドリ事業に頼ったものの、熱や歩留まりの問題を解決できなかったのでTSMCに鞍替えしたわけで。
 観念じゃなくて、実力の問題なんだよなぁ……。

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韓国メディア「AI世代の勝者はTSMCだ。ゴールドラッシュでつるはしを売っていた企業のように安定している」……ようやく気がつきましたか

カテゴリ:半導体関連 コメント:(55)
「AI半導体」戦争、結局勝者はTSMC? 「金鉱を探す人につるはし・シャベルを売るのがもっとも儲ける方法」(ソウル新聞・朝鮮語)
モルガン・スタンレーは「最近TSMCは来年のファウンドリー供給が不足する可能性があり、価格引き上げがなければ顧客が十分な容量を割り当てられない可能性があるというメッセージを伝えている」と言いました。 AI市場の「大手」であるNVIDIAをはじめ、アップルなど主要企業を顧客として確保しているTSMCが、今はビッグテックを並べる「スーパー乙」になったのです。 (中略)

NVIDIAへの依存度を減らそうとするビッグテックの動きもTSMCの立場では好材料かもしれません。 ビッグテックが独自のAI加速器を開発するとしても、製造はTSMCに任せる公算が大きいためです。 NVIDIAが独走しても、「TalNVIDIA」の動きが加速化しても強固な占有率を土台に成長を継続できるということだが、市場ではTSMCのこのような状況を「ピックアンドショベル」に借りたりもします。

ピックアンドショベルは、19世紀のゴールドラッシュ当時、金鉱に集まった人につるはし(Pick)とシャベル(Shovel)を売っていた人が、より安定的で持続的な収益を上げたことに着目した投資戦略です。 スイス資産運用会社GAMのジャン・コルテシポートフォリオマネジャーはある外信インタビューで「投資家はTSMCがAIテーマでピックアンドショベルの役割をするということに気づいた」とし「AIチップ需要が現在減る信号が見えないのを見れば少なくとも数四半期間需要は持続すると見る」と話しました。
(引用ここまで)


 サムスン電子の第2四半期の決算は良好で10兆4000億ウォンの黒字、半導体部門では6兆4500億ウォンの黒字であったとされています。
 ところがメモリ部門以外のファウンドリ、およびシステムLSI部門では3000億ウォン(報道によっては7000億ウォン)ていどの赤字であるとされています。

 一方でTSMCの決算は前年同期比で売上は約40%増の6735億台湾ドル、利益は約36%増の2478億台湾ドルと好調そのもの。
 利益率えっぐ……。

 ファウンドリとしてのシェアも出てまして、TSMCが62%、サムスン電子は13%。
 前期と同じ49%ポイント差。
 相手にならないレベルでの差がついていますね。


 その最大の原因はAI旋風に対応できているか否かであるとされています。
 TSMCはnVidia、AMD、アップルなどの企業からの生産委託が行われています。
 どの企業もAI旋風の主役級が揃っています。

 一方でサムスン電子は自社製SoCとGoogleくらい。そのGoogleもサムスン電子への委託をやめて、次のTensor G5からはTSMCに鞍替えするとされています。
 いくらサムスン電子が「我々のファウンドリは空いてますよ!」ってアピールしても、大手企業のTSMC詣では止まらない。

 ……まあ、発熱のひどさと歩留まりの悪さで定評がありますからね、サムスンのファウンドリ。
 クアルコムもそれで離脱したのでした。
 思えばnVidiaもRTX30シリーズの頃はサムスン電子に委託していたんだよなぁ。あとテスラもサムスン電子の顧客でした(過去形)。

サムスン電子のファウンドリ、あまりにも歩留まりが上がらずにnVidia、クアルコムともにTSMCに逃げてしまう……(楽韓Web過去エントリ)

 冒頭記事は「AI旋風で一番儲けているのはTSMCではないのか。ゴールドラッシュの時につるはしとシャベルを売っていた企業のような立場になっている」とするもの。
 あら、ようやく気がつきましたか。

 AI関連で韓国が手を出せているのはメモリ関連くらい。
 それ以外だとなんも関係ないんですよね。
 まあ、メモリであるていどの利益を享受できているんでそれでよしとすべきじゃないですかねー。

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韓国メディア「韓国半導体企業の設備投資、その8割がオランダ、アメリカ、日本などの国外企業に渡ってしまう」「真の半導体強国への道は遠すぎる」

カテゴリ:半導体関連 コメント:(48)
タグ: 半導体関連
半導体投資の80%は海外企業の「真の半導体強国」の条件(ファイナンシャルニュース・朝鮮語)
全世界的な半導体好況を控えた状況で、我が国が「空虚な強情」になりかねないという指摘が出ている。

韓国はメモリー半導体グローバル市場では絶対強者である反面、半導体装備においては国産化が不十分だという指摘が出ている。 さらに、メモリー半導体より2倍以上大きいシステム半導体(非メモリー)分野で「尖兵」の役割をする半導体設計(ファブレス)企業の競争力は、米国や中国、台湾などの競争国に比べて大きく劣るという評価だ。

12日、SEMIによると、昨年、全世界の半導体装備投資は1063億ドル規模だった。 このうち韓国は199億ドルで、中国366億ドルに続き、半導体装備投資国2位だった。

しかし、韓国半導体産業協会などによると、半導体装備の国産化比率は数年間20%水準に止まっている。 これは逆にサムスン電子、SKハイニックスなど半導体業者が装備に投資した金額のうち80%程度が海外業者に回るという話だ。 数値上では昨年、半導体装備投資額199億ドルのうち160億ドル程度がオランダのASML、米国のアプライドマテリアルズ、日本の東京エレクトロンなど海外装備業者に流出したわけだ。

システム半導体産業を率いるファブレスの競争力はさらに深刻な状況だ。 ファブレスは半導体の研究開発(R&D)だけを専門にし、生産は外注に任せる形で事業を運営する。 全世界の人工知能(AI)半導体市場を掌握した米NVIDIAが代表的だ。 このような全世界のファブレス市場で韓国のシェアはわずか1.5%に過ぎない。
(引用ここまで)


 韓国企業が半導体投資に使う予算の80%が韓国以外の外国企業に向かっており、本当の意味での半導体強国であるとはいえないのではないか……とする記事。
 いや、逆に驚きなんですけどね。
 20%「も」韓国国内に向かっているんだ?

 以前にちょっと話した大日本スクリーン(現SCREENホールディングス)の技術をぶんどっていったサムスン系列のSEMESはウェハ洗浄装置で15〜20%ていどの世界シェアを握っています。
 ですが、それ以外の半導体製造装置において、韓国にこれといってメジャーな企業はありません。
 まあ、もしかしたら世界シェアの表示で「その他」に区分されているところに、韓国企業がいくつかあるのかもしれませんけどね。


 ただ、それでサムスン電子やSKハイニックスが導入するような装置で韓国製が20%もあるとは思えないのですけどね。
 単純に「韓国に直接投資している外国企業」の分かもしれない。

 ムン・ジェイン政権は「半導体製造材料のひとつであるレジストをJSRから国外企業に移してやった。もう日本に2度と負けない」ってやってましたが、JSRのベルギー支社からまったく同じ物を購入しているとのオチでした。

ムン・ジェインが「二度と日本には負けない」と素材・部品分野に大々的に韓国企業を参入させたものの……その成果は「海外からの迂回輸入」だけ?(楽韓Web過去エントリ)

 アプライドマテリアルズや東エレは韓国にも直接投資を行っています。そうした企業は統計上、「韓国企業」とされていても不思議はないですね。
 まあ、そうすると「韓国企業が20%でしかない」となってしまうのですが。
 SEMES以外であれば、なんらかのそうしたからくりがあるのだろうな……と感じます。

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半導体受託企業としてTSMCが成長し、サムスン電子が取り残された理由は「5年ごとにやってくる韓国の反米政権」だったかも

「なぜ韓国を押しのけようとするのか」…「世界最高」三星、崖っぷちに立たされた(韓国経済新聞・朝鮮語)
「5年ごとに反米政権が帰ってくるのに、韓国を後押しできますか?」

TSMCが世界最高の半導体企業だったサムスン電子を抜いたのには、さまざまな要因があります。 その中でよく見落とされるのが世界最強大国アメリカの支援と韓国の外交失策です。

2日、三星電子の時価総額は終値基準で475兆ウォン(優先株含む)を記録しました。 同期間、TSMCの時価総額は1125兆ウォンで、サムスン電子の2倍をはるかに超えています。

2019年までTSMCの時価総額は300兆ウォン前後で、サムスンに敵いませんでした。 2010年の時価総額は50兆ウォン水準で、サムスンにとっては「ホコリのような存在」でした。

専門家らはTSMCの急成長の勢いを説明する際、米国を欠かせないとしています。 アメリカが戦略的にTSMCを後押しし、サムスン電子を冷遇したということです。 (中略)

2015年頃、状況が変わり始めました。 中国が「一対一路(中国版シルクロード)」を通じて外に拡張し、最前線にある台湾を守ることが最優先課題となりました。

ちょうど2017年、韓国では「均衡外交」を重視する文在寅政府が発足しました。 5年間、文在寅政府はアメリカの中核同盟である日本と対立し、共産圏と近づく政策を展開しました。

同時に労組を育て、企業の活動を制約する「ムンジェノミックス(文在寅+ノミックス)」を展開しました。 (中略)

TSMCはアップル、エヌビディア、クアルコムなど米国ファブレス(半導体設計)企業の生産を全て引き受けています。 TSMCがなければ、米国のIT産業が麻痺するという言葉は誇張ではありません。
(引用ここまで・太字引用者)


 TSMCとサムスン電子、どうして差がついたのか……慢心、環境の違い(ネットミーム)。
 株式の時価総額が企業そのものの価値ではありませんが、半導体受託企業であるTSMCの時価総額はサムスン電子のそれの2倍を上回るものになっています。
 半導体受託のシェアは1位のTSMC(62%)が2位のサムスン電子(13%)に対して50%ポイント近い差をつけている状態。
 AIチップについてはTSMCがほぼ100%シェアを持っているとされています。
 まさに圧倒していますね。

 その差はどこから生じたのか、とする韓国経済新聞の考察記事。
 2015年以降、TSMCが台湾を守る「守護企業」になっていったのに比べ、韓国ではサムスン電子はムン・ジェイン政権下で会長は逮捕され、収監されるほどの扱いを受けていました。
 あの「サムスン電子憎し」の感情はどこから生じていたんでしょうかね。


 そのくせ、インドに建てられたサムスン電子のスマホ組み立て工場の竣工式にまるで自分の手柄であるかのようにして、テープカットの主賓として振る舞っていたのですよ。
 ホント意味不明。

サムスン電子のインド工場竣工式なのに、テープカットのセンターにはなぜかムン・ジェイン→さらに大統領府から「我々は副会長を招いていない」と宣言される……そこまで財閥が嫌いか(楽韓Web過去エントリ)

 ちなみにイ・ジェヨンは中央から4番目くらいに位置してました。動画もあったのでチェックしてみてくださいな。



 こんな政権が5年ごとにやってきたりする。反財閥ってだけならまだしも。
 反米反日で軍事同盟を結んでいるはずなのに「バランス外交」を標榜したりする。
 手をかけて日本と結んだGSOMIAを軽々に「こんなん破棄したるわ」って宣言する(後に撤回)。
 そりゃまあ、アメリカ側の肩入れ先としても台湾になるよねっていう。

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