米政府が自国の半導体法(CHIPS Act)補助金を受ける企業を対象に、中国内の先端半導体生産能力を拡張できる範囲を5%に制限する案を確定し、22日(現地時間)発表した。韓国政府はこのような「補助金ガードレール(安全措置)」条項を緩和し、サムスン電子とSKハイニックスなど韓国企業の中国内半導体生産拡張基準を2倍の10%に増やしてほしいと要請したが受け入れられなかった。
米商務省は自国の半導体補助金を受けた企業が10年間、中国など憂慮国家で半導体生産を「実質的に拡張(material expansion)」する重大取引をする場合、補助金全額を返還するようにする規定を用意した。この日商務部が発表した「実質的拡張」は先端半導体の場合5%以上、前世代の汎用半導体は10%以上だ。
米政府はこれに先立って3月、ガードレール条項草案を発表した後、韓国など関連国家と企業から意見収斂を進めてきた。中国内の生産拡大基準の拡大とともに汎用半導体の基準も緩和してほしいと要請したが、同日の発表に関連内容は含まれなかった。米商務省がロジック半導体は28ナノメートル(nm)、DRAMは18ナノ、NAND型フラッシュは128段以下を汎用半導体に分類している。
商務部はただ、草案で10万ドルの限度を超える中国投資を「重大取引」に分類し、規制対象に含めたが、最終案からは外された。ブルームバーグ通信は「10万ドル投資上限廃止はサムスン電子とインテル、台湾半導体企業を代表する情報技術産業協議会が反対の声を出した結果」と分析した。
同日の発表で、中国内の半導体装備搬入規制猶予関連内容は言及されなかった。
(引用ここまで)
CHIPS法のガードレール条項による中国における半導体工場での増産制限が発表されました。
ウエハベースで先端半導体は5%まで、旧式半導体は10%まで。
CPUなどのロジック半導体では28ナノプロセス以下、DRAMでは18ナノ以下、NANDフラッシュでは128段以上のものが「先端半導体」と規定されています。
で、これらの先端半導体は年間での生産数を5%までしか増やせない。
草案では月毎の生産数とされていたものが年ベースの生産数に変更。
さらに10万ドル以上の投資金額は禁止とされていたものが撤回されました。
そのあたりは草案に比べてだいぶ緩和された感じですが。
半導体、それもメモリは生産体制を増強していってなんぼという面が大きいのです。
特に高騰期はいくら作ってもいい。
韓国政府は先端半導体についてもウエハベースで10%増にしてほしいと要求していたのですが、これはかなえられませんでした。
韓国政府、アメリカ政府に「韓国半導体企業の中国工場での増産を」とお願いするものの、アメリカ側の要求は無視……そういうとこだぞ?(楽韓Web過去エントリ)
先端工場で生産数量が年間5%増か10%増かは大きな違いになるので10%増に……としたかったようですけどね。
5%増だと10年後には1.62倍まで引き上げられますが、10%なら2.69倍。複利の怖さよ。
でも、アメリカ政府はそれを認めなかった。
5%増しかできない、というのは致命傷ではありませんが。
流血しながら操業するのとさほど変わらない。けっこう厳しい措置に感じますね。
なお、韓国国内では「猶予は延長される」とされていた半導体製造装置の納入猶予措置についてはアナウンスなし。
一緒にアナウンスされてもなんらおかしくないとは思うのですが。
まだアメリカの議員筋が反対に回っているのかなぁ……。
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