ベンチャー企業クォンタムエネルギーが開発した「LK99」という「常温超伝導体」を全世界の科学界が注目しているとの話だ。すでにノーベル賞は当確であり、まもなく5830兆ウォンの経済的価値も手にすることになるという。熱く盛り上がったマスコミとインターネットによると、そうなのだという。羽のように軽い証券市場も乱高下している。もちろん、すべてが虚勢だという正反対の声もある。一体どの拍子で踊らなければならないのかすら分からない状況だ。 (中略)
2008年に設立して10人以下の人材でかろうじて命脈をつないできたというクォンタムエネルギーが果たしてそのような責任と義務を果たしたのかは明らかではない。これまで公開的に確認できる成果もなく、経営実績も失望したものだった。むしろ何の関係もない韓国化学研究院・大韓化学会・LGイノテック・サムスンSDI・ポスコなどの名義を盗用する荒唐無稽なことも犯した。 (中略)
研究成果の公開手続きも荒唐無稽だ。同僚評価を経る学術誌に論文を発表する過程を無視してしまった。誰もがいかなる制限もなく自分の論文「原稿」(manuscriptまたはpreprint)を載せることができるインターネットサイトである「アーカイブ」(arXiv.org )が研究成果を発表する学術誌の代案にはなれない。「アーカイブ」を出版社が著作権を放棄する「オープンアクセス」と混同してはならない。
さらに開発者たちがアーカイブに7月22日午後4時(論文A)と午後7時(論文B)に異なる原稿2編を競って載せたことは致命的な誤りかミスだった。2編の原稿がいずれも「LK-99」という常温超伝導体の開発を主張する。しかし著者も違うし、タイトルも違うし、表現方法(専門用語)も違うし、具体的な内容も違う。甚だしくは原稿に紹介された実験資料が同じなのかさえ明らかではない。論文で公開した傾いた磁気浮上現象は、超伝導体ではなく黒鉛でも見られると知られている。電気抵抗が0に落ちてもおらず、相転移に対する資料も見当たらない。超伝導低温学会が慎重な立場を明らかにしたのは、そのような理由のためだ。
開発者の間で起こっている内紛もみっともない。論文Aの主著者であり、教育部研究課題の責任者だったと知られたクォン・ヨンワンは、論文Bの著者に入れることもできなかった。論文Bで開発過程と原稿作成に重要な役割を果たしたというオ・グンホ、キム・ヒョンタクは原告Aの著者リストから抜けてしまった。開発陣のスポークスマンの役割をしていると見られるキム・ヒョンタクは、4月に国内で発表された論文では見られない。一体LK99を開発した開発者が正確に誰なのかさえ明らかでない状況だ。 (中略)
1999年に初めて開発したという主張も荒唐無稽だ。この24年間、学術論文も一編発表できなかった課題に固執したことを「執念」や「粘り強さ」と見ることは難しい。 (中略)
米国メリーランド大学凝集物理理論センターは「悲しいことにもうゲームが終わったと信じる」と明らかにした。ネイチャーも「専門家たちが非常に懐疑的」という便りを伝えた。今や専門性が足りない一部マスコミが騒がしく作り出した「真夏の夜の夢」から目覚める時だ。
(引用ここまで)
韓国の科学者からの「LK-99、怪しくてしかたがない。距離を置いて見るべきだ」とするコラム。
そういえばクオンタムエネルギーセンターが「パートナー」としていた企業の画像を引っ張ってこれたので貼っておきましょう。
この「パートナー企業」の中に住友商事があるのに注目。
これ、どういうことかというと「資源を融通してもらえる宛がある」という宣言なのです。
「これから我々は大量の鉱物やらなんやらの資源を使うことになるが、それは住友商事がいるから問題ない」との表記なのですよ。
住友商事はニッケルや銅といった鉱山も所有、出資をしています。
まあ、「パートナー企業」としているものは全部嘘なんですけども。
韓国人による「夢の常温超伝導物質」を製造した企業、なぜかホームページを閉鎖、「協力企業」とされていた有名企業は「協力したことはない」と明言……あれれ、おかしいぞ?(楽韓Web過去エントリ)
このパートナー企業云々の事例だけを見ても「実に質が悪い」のです。
この記事にはざっくりとその質の悪さがこれでもかと書かれています。
・arXivに二編の論文が登録されている件。
・著者らが明らかに内紛で争っている件。
・「パートナー企業」がすべて虚偽だった件。
・「24年に渡って同じ素材を研究してきた」ことが胡散臭い件。
これに加えていうなら「先進研究を行ってきたラボが雑居ビルの地下にある」なんてのもかなり質が悪い。
いや、すべての素材が大学や研究所然としたところから出てくる必要はないのですけどね。
あとLK-99が世に出た当初から「これはなんか面白そうだ」として個人としてLK-99の再現実験をやっていたアンドリュー・マカリップという人物がいるのですが。
常温常圧の超伝導を実現!? 謎の物質「LK-99」の再現に“素人”まで参戦、過熱するDIY競争の舞台裏(WIRED)
その再現実験の結果が出てて「もうこれはダメかも分からんね」との結論に至っています。
Meissner Effect or Bust: Day 12
— Andrew McCalip (@andrewmccalip) August 10, 2023
It might be a bust… we may be over...
Positives first! I had one of the very first syntheses in the United States and produced a Pb-apatite structure that demonstrated lattice contraction along with an anomalous magnetic effect. The sample was… pic.twitter.com/U4eQE1HSLk
あとコミケでLK-99の標本が売られていたとの話。
LK-99合成歴2週間の職人のアドバイス下で合成した自家製Pb10-xCux(PO4)6Oの標本も頒布します。1500円。
— 見習い@日曜日東ペ50a (@UtopianF) August 12, 2023
不純物量は少し多くなりますがガラス管壁上のものをピックアップしたので、硫黄量が少なくても運搬中に崩れにくいです。#評論情報系同人誌告知 #C102 https://t.co/zPH8V86E5b pic.twitter.com/3H9ThjP4Rv
LK-99のレシピはそれほど難しくないし、材料の入手性もそこまで悪くない。
それなのに「電気抵抗がゼロ」とする結果を得られたところがこれまでどこにもない。
擁護している人々は「製造に独自のノウハウがあるのだ」としていますが。
じゃあ、それを論文に書いてくれないと意味ないんだけどね(笑)。論文をなんだと思ってるんだって話です。
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