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カテゴリ:資源開発の記事一覧

韓国、「世界最大級のガス田発見」に気分がうわずってしまう……「日本のEEZは関係ない(韓国外務省談)」「日本のYahooでこんなコメントがついた」「日本はすでに近くで天然ガス生産をしている(してません)」等々……日本、根本的に関係なくない?

カテゴリ:資源開発 コメント:(79)
外交部「迎日湾のボーリング、日本との紛争の可能性はない」(ニュース1・朝鮮語)
政府が今年末から慶尚北道浦項の迎日湾沖で石油·ガス探査ボーリングに着手する予定の中で「日本との紛争の素地はない」という立場を示した。

林首席外交部報道官は4日、定例ブリーフィングで関連質問に「政府が最近発表した該当水域は排他的経済水域(EEZ)と大陸棚に含まれる」とし「日本側がこれに対して問題提起をする余地はない」と明らかにした。

EEZは海を挟んでいる国家が経済的主権を行使すると宣言した海域で、国連海洋法上、自国沿岸から200海里(約370.4キロ)までだ。

現在、政府が深海ガス田があると推定する地域は迎日湾から38km~100km離れた地点で韓国のEEZ内にあり、8鉱区と6-1鉱区一帯だ。

これは韓日両国が共同開発協定を結んだ7鉱区とは遠く離れているところだ。
(引用ここまで)


 韓国外交部(外務省に相当)が「今回の迎日湾ガス田の掘削予定地点は日本と関わりのない場所だ」とのアナウンス。
 第7鉱区とは関係のない場所だとわざわざアナウンスする、しなければならないのがかなり面白い。
 先日ピックアップしたように、今回の「韓国のEEZ内で世界最大級のガス田発見」との報道で、第7鉱区──日韓大陸棚協定についてもスポットライトが当たりつつあるのもまた面白い現象といえます。

 なんというかこう、韓国人の自尊心の拠り所が「日本との関係性」にしかない(は言いすぎにしても、相当に依存が大きい)のだなぁと。  目盛りに「日本」と刻まれた定規しかないのかっていうね。


 日本のYahoo!のニュースでこの「迎日湾ガス田発見」が取り上げられた際に、いつものようにコメントがついているのですが。
 そのコメント内容をまた韓国でニュースにしています。

「日本海に石油? 中国に強奪されればいいのに」日本のネットユーザーの反応(ソウル経済・朝鮮語)

 この「日本で話題」「日本人がうらやましがっている」って形の記事はひとつだけじゃなくて、ざっくり10はないかなってところ。
 それとINPEXが試掘した(そして採算ベースに乗らないとしてやめた)山口沖ガス田についても報道されています。

日本、22年に東海ですでに天然ガスのボーリングを始めた(チャンネルA・朝鮮語)


 「韓国のEEZにかかっているのではないかとされる場所で掘削されています」って……そこもう試掘すらしてないけどね。
 韓国メディアにありがちな「情報のアップデートができていない」アレです。
 ま、こんな感じで「試掘してもダメだった」なんてことはものすごくよくあるので、資源開発は一喜一憂せずに見守るのが吉、なのですが。

 この3つの記事だけ見てもどれだけ韓国国内で気分がうわずっているか理解できるのではないでしょうか。
 ついついウォッチングにも力が入りますね(笑)。

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 「資源の現在地」を見るのに最適な書籍だと思います。
新しい世界の資源地図―エネルギー・気候変動・国家の衝突
ダニエル・ヤーギン
東洋経済新報社
2022-01-28

韓国政府「見つかった海洋ガス田は世界最大規模だ」→オーストラリア著名開発企業が「採算性ないから撤退」を決定していた場所だった

韓国南東沖の石油・ガス開発は勇み足? 政府が豪資源大手の撤退巡り釈明(聯合ニュース)
 韓国南東部の深海にあるとされる石油・天然ガスを巡り、オーストラリアの資源大手ウッドサイド・エナジーが「将来性がない」として共同探査事業から撤退していたことが、6日分かった。これについて、韓国政府は報道資料を出して釈明した。

 ウッドサイドがホームページで公開した2023年の半期報告書によると、同社は「探査ポートフォリオを最適化する過程で将来性のない鉱区を排除した」とし、その対象の一つとして「韓国」を挙げた。

 同社は07年から16年まで、先ごろ韓国政府が大規模な石油・ガス埋蔵の可能性が高いと発表した鉱区で韓国石油公社と共同探査を行った。

 この過程で石油が産出される可能性のある「有望構造」が発見されると、19年に石油公社と共同で韓国政府から鉱物を掘採し、取得する権利を確保して深海探査に乗り出したが、昨年1月に事業から撤退した。

 これに対し韓国産業通商資源部は、ウッドサイドが22年6月にオーストラリアの資源大手BHPと合併し、既存の事業を整理する中で事業撤退に至ったと説明。ボーリング調査の前段階である有望構造化段階まで至らずに撤退したとして、「ウッドサイドが有望構造に対する深層評価によって将来性がないと結論を下したという解釈は事実関係に合致しない」と強調した。
(引用ここまで)


 オーストラリアの石油大手ウッドサイドエナジーはうちでも知っている大手グループです。
 石油、天然ガスの開発・生産・販売を行っています。
 ニューヨーク株式市場にもADRで上場していますね(ティッカーWDS)。
 そのウッドサイドエナジーが、例のユン・ソンニョル大統領が大々的に発表した、海洋ガス田について「採算が取れない」として撤退していたことが判明。

 しかも、採掘権を50%確保したにも関わらず、撤退を選択していたと。
 こういった形で「とりあえず唾つけておこう」ってやりかたは油田・ガス田開発ではよくあること。
 大化けしたら儲けもんくらいの扱いですね。
 それなのにあっさりと撤退したと。

 韓国ではこの迎日湾ガス田、とんでもなく大きなものであるとの話になっていまして。
 「世界最大級のものである」とか産業通商資源部長官が記者会見で述べているほどになっています。

韓国産業通商資源部長官「迎日湾ガス田、南米よりも規模大きく世界最大の可能性」(中央日報)

 もう、お母さんガエルくらいに期待を膨らませている状況です。


 一応、韓国政府側もウッドサイドエナジーが撤退していることについては把握しているようで、「ウッドサイドエナジーがボーリング調査前に撤退している。今回の発表は物理探査を行った上でのもの」としていますが。

 さて、その一方で「有望だ」との調査結果を伝えてきたアメリカのアクトジオと名乗る企業がペーパーカンパニーなのではないかとの疑惑があります。

米アクトジオがペーパーカンパニー? オーナーがきょう訪韓「浦項油田はチャンス」(中央日報)
家庭が本社、年間売上3,700万ウォン?「アクトジオ」論議の中で訪韓(MBC・朝鮮語)

 登記されている場所は住宅街だったとか、登記内容は従業員ひとりでかつ業種が「職業訓練」であったりと怪しいことこの上ないと。
 ただ、そのひとりの従業員(オーナー)は業界の有名人とのことで。

 なんかこう末期ガン患者が「それでもなんとかして……」って標準治療以外の治療方法を探しているかのような感触があります。
 イ・ミョンバク政権時代に大々的にやっていた資源外交の二の舞になりそうな感じなんだよなぁ。これまでのパターンからして。

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韓国で見つかった「大規模海洋油田」、ユン大統領が発表記者会見までしたものの、本当にそこに油田はあるのか?

カテゴリ:資源開発 コメント:(69)
1964年、初のボーリング…60年念願の産油国の夢、今回は?(マエイル新聞・朝鮮語)
「いつも挫折した資源大国の夢、今度は実現できるだろうか」

尹錫悦大統領の慶尚北道浦項の迎日湾港の石油・ガスのニュースが伝えられたが、いざ浦項市民はただ喜ぶことは難しい。

すでに数回も天然資源の発掘ハプニングが繰り返され、もしかしたら今回もまた挫折感に戻るのではないかという期待と憂慮が半々に入り混じった姿だ。

浦項で石油・ガス埋蔵の可能性が初めて浮上したのは1964年だ。

これまで三国遺事の記録や地質分布図に基づいて埋蔵の可能性は常に提起されてきたが、当時、親会社企業と国立地質調査所で共同ボーリング作業を行い、天然ガスを発見したことが少なからぬ反響を呼び起こした。

しかし、当時発見された天然ガスはあまりにも少量であるため、経済性が全くないことが判明し、これ以上の開発にはつながらなかった。

その後も着実に天然資源の埋蔵可能性が提起され、1975年についに政府が乗り出し始めた。

1974年、第1次石油問題で困難を経験した朴正熙(パク·チョンヒ)大統領は、小さな希望にしがみつき、浦項(ポハン)石油開発作業に乗り出した。

米国が持分を持っていた韓国石油公社に代わって、当時「無所不為」の権力を誇っていた中央情報部が関連会社を立ち上げたほど、死活をかけた事業だった。

結論から言えば、実際に油が出ていた。

1975年12月、浦項市南区上道洞の地下1475m地点で真っ黒な液体が流れ、パク大統領は該当液体に直接火をつけてみて味まで見ながら喜びを隠せなかった。

1カ月後の1976年1月、年頭記者会見で朴大統領は「長い浦項迎日湾探査の末、3、4個の空穴をボーリングした結果、そのうちの1ヵ所でガスと石油を発見した」と発表した。

しかし、当時出た油はわずか10ℓ程度であり、それさえも原油と成分さえ違っていた。 むしろ軽油に近い油であり、ボーリング孔に近いどこからもこれ以上の石油やガスは発見されなかった。

米国と日本でも韓国の石油開発の便りに自主調査を進めたが、「議論する価値がない」と結論付けた。
(引用ここまで)


 海洋油田の開発は韓国において国家としての念願といっても過言ではありません。
 2004年に小規模とはいえ、採算ベースに乗りえる油田が発見された際には「ついに我々も産油国になった!」と大騒ぎでした。
 なお、2021年に枯渇済。

 今回、「大規模なガス田・油田があるかも」と発表されたのは1950年代から延々と探査し続けてきた結果ともいえます。
 大々的に発表したのは政権浮揚の意図があったのは間違いないでしょうけどね。

 記事にある1964年に油田が見つかった際にも大騒ぎになったものの、これも採算ベースに乗せられるような代物ではなかったことが判明して終息。
 ライターである崔碩栄氏の叔父は「非科学的だ」と進言したところ、KCIAに呼ばれて「よけいな話をした」と「警告」され、結果海外移民になったそうです。



 どこか2006年のファン・ウソクによるES細胞捏造事件に熱狂した韓国人の態度を思い起こさせますね。
 あの時もファン・ウソクの業績に疑問を持ったテレビ記者が「卵子入手に問題がある」とスクープしたら「国家的業績に文句をつけるとはなにごとだ!」と当該のテレビ局へのボイコット運動にまでなったっていう。

 1970年代にも当時の大統領であったパク・チョンヒまで出てきて「石油があった!!」と大騒ぎしたことがありましたが、これもまったく同様にポシャっています。


 ま、油田にしろガス田にしろ、実際に試掘してみないとなんともいえないというのはいつものこと。
 昨日も書きましたが日本のINPEXが期待していた山口沖のガス田も「天然ガスがあるにはあるけども、採算ベースには乗らないレベル」として試掘を終了しています。
 海洋油田の場合、この試掘自体がけっこうお金がかかるものなのですよ。

 今回は「試掘1本につき1000億ウォン、それを最低でも5つは行う」とのことで。
 タマネギ男ことチョ・グクの率いる祖国革新党はそのあたりに文句をつけています。

祖国革新党「ユン産油国の夢『天空』とは本当に関係ないのか」(マエイル新聞・朝鮮語)

 「天空」とあるのはユン大統領と知り合い(なのかどうかすらあやふや)の宗教家……というかシャーマン。
 ことあるごとに「ユン政権の政策は天空によって決められているのではないか」とされているのですが。
 いまのところ疑惑レベル以下。「この件を広めているのはキム・オジュンである」と書けばうちの読者は眉に唾するかな。
 「パク・クネ弾劾の夢をもう一度」と願っている左派はそれを信じ切っているので、こうして「天空と政権が無関係なわけはない。今回の油田もそうだ」としている、といったところです。

 というか、それ以前に「ユン政権に成果があってはならない」と固く信じているのですね。
 どちらにせよ油田・ガス田試掘は「採算ベースに乗らなかった」ことが多いのでなんとも。
 まあ、地域的には中国にどうのこうのいわれる場所でもないのでゆったりとやればいいんじゃないでしょうかね。

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